近年、大規模な自然災害が九州をはじめ全国各地で頻発し、加えて、新型コロナウイルス感染症など自然災害以外のリスクも顕在化しています。こうした自然災害や感染症の拡大が企業経営に与える影響はますます高まっており、事業継続のための対策を平時から進めておくことが不可欠となっています。
このような中、福岡商工会議所は、福岡市、志賀商工会、早良商工会と共同で、自然災害や感染症等に備える小規模事業者の取り組みを支援する計画「事業継続力強化支援計画」を策定し、福岡県より認定を受け、令和3年4月から本計画に基づき支援を行っています。
中小企業、小規模事業者の皆さまを対象に、「BCP(事業継続計画)」や「事業継続力強化計画」の策定を無料で支援しています。計画策定におけるご相談がございましたら、専門家(中小企業診断士)が当所相談窓口または事業所を訪問してご相談に応じます。
≪※1回/2時間×3回まで≫
事業継続力強化においては、リスクファイナンス対策も重要となりますが、その主要な手段である損害保険についてご相談に応じます。
なお、当所では、自然災害や感染症にも対応した保険(ビジネス総合保険)をご用意いたしております。
≪本件担当≫ 中小企業振興グループ 092-441-1146
BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです。
緊急事態は突然発生します。有効な手を打つことがきでなければ、特に中小企業は、経営基盤が脆弱なため、廃業に追い込まれるおそれがあります。また、事業を縮小し従業員を解雇しなければならない状況も考えられます。
緊急時に倒産や事業縮小を余儀なくされないためには、平常時からBCPを周到に準備しておき、緊急時に事業の継続・早期復旧を図ることが重要となります。こうした企業は、顧客の信用を維持し、市場関係者から高い評価を受けることとなり、株主にとって企業価値の維持・向上につながるのです。
このBCPの特徴は、①優先して継続・復旧すべき中核事業を特定する、②緊急時における中核事業の目標復旧時間を定めておく、③緊急時に提供できるサービスのレベルについて顧客と予め協議しておく、④事業拠点や生産設備、仕入品調達等の代替策を用意しておく、⑤全ての従業員と事業継続についてコニュニケーションを図っておくことにあります。
企業が大地震などの緊急事態に遭遇すると操業率が大きく落ちます。何も備えを行っていない企業では、事業の復旧が大きく遅れて事業の縮小を余儀なくされたり、復旧できずに廃業に追い込まれたりするおそれがあります。一方、BCPを導入している企業は、緊急時でも中核事業を維持・早期復旧することができ、その後、操業率を100%に戻したり、さらには市場の信頼を得て事業が拡大したりすることも期待できます。
(中小企業庁HPより)
自然災害等の影響は、個々の事業者の経営はもちろん、わが国のサプライチェーン全体にも大きな影響を及ぼすおそれがあります。こうした状況を踏まえ、中小企業の災害対応力を高めるため、令和元年7月に「中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律」(中小企業強靭化法)が施行されました。
これに伴い、中小企業が防災・減災に向けて取り組む計画=事業継続力強化計画を作成し、国(経済産業省)がこれを認定する制度が始まりました。
「事業継続力強化計画」は、中小企業が自社の災害リスクを認識し、防災・減災対策の第一歩として取り組むために、必要な項目を盛り込んだもので、将来的に行う災害対策などを記載するものです。作成方法や計画書の記入項目がフォーマット化されており、コンパクトな計画書になっています。
BCPより簡単に計画を策定できるため、中小企業・小規模事業者の皆様でも取組みやすく、国の認定を受けると次の支援を受けることができます。
事業継続力強化計画は、中小企業庁HPに掲載の「事業継続力強化計画策定の手引き」を参考にしながら次の5つのステップで作成を進めます。
はじめに目的を明確にします。災害発生時における「従業員やその家族」「顧客や取引先」「地域の方々」等への影響を考え、自社はどう行動していくか、何を目的として事業継続力の強化を図るかを検討します。
次は、実際に事業所や工場などがある地域の災害等のリスクを確認・認識しましょう。
まずハザードマップをもとに、具体的にどのようなリスクがあるかを確認します。そのうえで、事業活動に影響を与える自然災害や感染症を1つ以上想定し、その想定リスクが仮に発生した場合にどのような影響を及ぼすかを5つの項目(「ヒト」・「モノ」・「カネ」・「情報」・「その他」)について検討します。
次に、自然災害等が発生した直後の対応手順に関して、「人命の安全確保」、「非常時の緊急体制の構築」、「被害状況の把握・共有」等について検討します。
次に、Step2で検討したリスクに対する事前対策をどのような内容で進めるかを検討します。具体的には、「ヒト(人員体制の整備等)」、「モノ(設備・機器及び装置の導入)」、「カネ(資金調達方法)」、「情報(重要情報の保護等)」の4つの視点で検討します。
最後に、事業継続力強化計画の実効性を確保するため、平時から行う取り組み(平時の取り組み推進の体制・教育や訓練・取り組み内容の見直し)を検討します。
本認定制度にはもう一つ「連携事業継続力強化計画」があります。これは2社以上が連携して計画を策定し、認定を受けるものです。個々の企業が単独で対策を講じるには限界がありますが、複数の企業が連携することで、資源の融通、代替生産や情報共有等、単独では対応できない部分を相互に支援することが可能となり、大きな力となります。
計画策定にあたっては、中小企業庁HPに掲載の「連携事業継続力強化計画策定の手引き」や以下に掲載の動画をご参照ください。
主な違いは下表のとおりです。事業継続のためには復旧対応までを盛りこんだBCPを策定することが望ましいですが、まずは取り組みやすい事業継続力強化計画の策定を検討されてはいかがでしょうか。
BCP | 事業継続力強化計画 | |
---|---|---|
対象リスク | 事業継続を妨げるあらゆるリスク | 自然災害・感染症に特化 |
対象場面 | 復旧対応まで | 初動対応まで |
1.BCP(事業継続計画)
2.事業継続力強化計画
3.ハザードマップ
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