地域別最低賃金額改定の目安に対するコメント

地域別最低賃金額改定の目安に対するコメント

福岡県商工会議所連合会
福岡県商工会連合会
福岡県中小企業団体中央会

○7月14日、地域別最低賃金額改定の目安に関する中央最低賃金審議会での審議が実質的に結審し、全国加重平均額では28円、3.1%の大幅な引上げとなった。
 最低賃金は全ての企業に一律に強制力をもって適用されることから、長引くコロナ禍により飲食業や宿泊業を中心に極めて厳しい業況の企業が多い今年度については、なお事業の存続と雇用の維持を最優先にすべき状況であることを踏まえ、「現行水準を維持」することを強く主張してきた。
 しかし、上記のような結果となったことは、極めて残念なことである。

○コロナ禍の長期化により、中小企業・小規模事業者は非常に厳しい経営環境に晒され続けている。福岡県においては、第3次産業のウエイトが高く、特に宿泊・飲食サービス業に携わる事業者の多くが、近年増加の一途を辿っていた海外からの往来が途絶えただけでなく、国内からの往訪者や地元消費者の需要も激減するなど甚大な打撃を受けている。また、幅広い関連事業者においても、同様に厳しい状況にある。
 さらに、近年の相次ぐ豪雨による大規模自然災害で被災した地域や事業者は未だ復旧・復興の途上にあり、災害とコロナ禍で二重の苦難を背負っている。

○このような状況下で、中小企業・小規模事業者は、事業継続、雇用維持のために、補助金・助成金を活用したり、新たな借入れをしながら、なんとか資金繰りを確保し必死に耐えてきたが、これから、借入れの多くが返済期限を迎え、本当に返済できるのか、多くの事業者が危機感・不安感を抱いている。

○仮に最低賃金が大幅に引き上げられれば、懸命に事業を維持してきた事業者が、さらに苦しい状況に追い込まれる。その結果、廃業が増加し、雇用にも深刻な影響が出ることが強く危惧される。

○今後開催される地方の審議会では、中小企業・小規模事業者や地域経済の窮状をしっかりと考慮した議論・検討が行われるべきであり、併せて、政府はコロナ禍の影響に苦しむ中小企業・小規模事業者への支援や雇用対策に万全を期すべきである。

(以上)