「平成30年度与党税制改正大綱の決定について」会頭コメントを発表

福岡商工会議所
 会頭 礒山誠二

○平成30年度与党税制改正大綱において、福岡商工会議所をはじめ全国の商工会議所が強く要望してきた事業承継税制の抜本的な見直しがなされ、今後の円滑な事業承継を後押しするものと大いに評価する。

○現在、中小企業経営者の年齢分布のピークは66歳に達し、間もなく経営者約30万人が70歳を迎える「大事業承継時代」になるが、その約半数が後継者未定である。
 早期の事業承継実現は事業の成長・活性化に寄与することから、商工会議所では、経営者に対し事業承継の重要性の「気付き」を促し、今回の改正のメリットをしっかり伝えるとともに、第2創業の支援や、後継者人材バンク等を活かした企業のマッチング支援などを通じ、事業所数の減少に歯止めかけることに全力をつくす。

○今回の所得拡大促進税制では、法人実効税率の優遇条件として賃金の引き上げや革新的な技術への投資が打ち出された。

○中小・小規模事業者は防衛的な賃上げにより人手を確保している中、原材料の高騰、電気代の値上げなど一企業が単独で対峙するには困難な課題もある。
 下請けの立場にある中小・小規模事業者が、賃上げ後、利益を確保し税制の恩恵が享受できるよう、政府においては、価格転嫁や取引条件の適正化の取り組みを継続・強化いただきたい。

○生産性向上を促す設備投資にかかる減税措置では、人手不足に悩む中小企業の生産性向上への取り組みを促進し、経営力の向上にもつながるものと期待する。

○また、教育訓練費の優遇など、人材育成にかかる投資への負担軽減などが盛り込まれた。有効求人倍率が過去最高となる中、求人と求職のミスマッチが生じているが、人材の再教育、いわゆるリカレント教育などの推進により、雇用のミスマッチが解消されることを望む。

○消費税については使途が変更となったものの、「社会保障と税の一体改革」という当初の目的を踏まえ、国民の将来に対する不安を払拭するためにも、持続可能な社会保障制度構築を急ぎ、財政の健全化といった喫緊の課題に対応いただきたい。

(以上)