病理組織学的検査(顕微鏡による検査)では、一部癌化していることが分かりました。大腸ポリープが癌化した腺腫内癌の状態で、幸い癌は粘膜の中だけに留まっており、血管やリンパ管の中にも癌細胞は入っておらず治癒切除をしました。もし、健康診断や大腸内視鏡検査を受けていなかったら、将来、大腸癌が進行して命を落としていたかもしれません。
大腸ポリープはサイズが大きくなると癌化すると言われていますので、1cm以上の大腸ポリープは内視鏡による大腸ポリープ切除を行うことが勧められています。大腸ポリープを切除することによって大腸癌の予防、治療をすることが可能になるのです。
サイズの小さなポリープ(5mm以下)は、大きくならず経過観察でよい場合がほとんどです。しかし、サイズが小さくても陥凹型病変(凹んだ病変)では悪性度が高いため、切除が必要なことがあります。
大腸ポリープでは、大きくなっても自覚症状はほとんどありません。それでは、大腸ポリープを見つけるにはどうしたら良いのでしょう。
それには、まず健康診断などで便潜血検査を受けることです。大腸ポリープや大腸癌は表面が弱く刺激により出血しやすい性質があります。便による刺激などで出血し、目に見えない程のわずかな血液が便に混じり込みます。そのわずかな血液反応を見るのが便潜血反応です。便潜血反応は通常2回調べますが、そのうち1回でも陽性が出れば大腸内視鏡検査を受ける必要があります。大腸内視鏡検査は、検査日の朝に腸管洗浄剤を2リットル程飲み、便を洗い流し大腸の中をきれいな状態にして昼から検査を開始します。大腸の走行(形)は人により異なりますので、大腸内視鏡が挿入しやすい方とそうでない方がいます。
大腸内視鏡によるポリープ切除では特に痛みはありません。切除後7日間程はお腹に力を入れることや飲酒などを避けていただく必要があります。
少数ではありますが、大腸ポリープや大腸癌ができやすい体質が遺伝することがあります。血の繋がった家族に大腸癌が多い方は、体質を受け継いでいる可能性がありますので、便潜血反応が陰性でも大腸内視鏡検査を受けることをお薦めします。
大腸癌は日本でも増加しており、部位別の癌死亡率では男性では第3位、女性では第1位になっています。便潜血反応陽性の方、家族に大腸癌が多い方は、積極的に大腸内視鏡検査を受けて下さい。大腸ポリープの発見、切除により大腸癌を予防しましょう。