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見つけにくい肝臓の病気

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見つけにくい腎臓の病気 2012年5月号より

中山 勝
国立病院機構 九州医療センター 腎臓内科科長

日本内科学会認定医、日本透析医学会認定医、日本腎臓学会専門医
2002年10月より国立病院機構九州医療センター腎臓内科科長に赴任し、現在に至る。
こんな患者さんがいました。
40代の男性の患者さんで、急性扁桃炎にかかり、コーラみたいな色の尿が出たとのことでした。かかりつけ医を受診すると、検尿検査を施行され、蛋白尿、尿潜血を指摘されました。抗生剤を処方され、その後扁桃炎は改善し、以後は通院せずに様子をみていましたが、特に症状はありませんでした。半年後の職場の健康診断の検尿検査で再度、蛋白尿、尿潜血を指摘され、腎臓専門医を紹介され外来受診となりました。
この患者さんの検尿異常の精査と治療方法の内容について
 外来でも検尿異常を認めたため、精査加療目的で入院となりました。入院後の採血、検尿検査では、血清クレアチニン1.0mg/dlと腎機能は正常(男性では血清クレアチニン1.1mg/dl以下、女性では0.7mg/dl以下が正常)、蛋白尿2+(1日尿蛋白1.2g)、尿潜血(3+)という結果でした。慢性糸球体腎炎の可能性を考え、腎生検を施行し、IgA腎症と診断されました。IgA腎症はその組織病変の程度により、ある程度その患者さんの腎機能が低下していく可能性を推察することができます。この患者さんは、腎臓の組織所見で急性炎症を示唆するものが強く、また蛋白尿も比較的多く出ていることから、ステロイド治療(ステロイドパルス療法:ステロイドを大量に短期間点滴投与し、その後内服のステロイドに変更し、徐々に減量していく)を受けることになりました。また、扁桃摘出術を併用した方が治療効果も高まることが報告されており、2か月後に耳鼻科で扁桃摘出術を受けました。その後、蛋白尿、尿潜血は次第に減少し、1年後には陰性となりました。
IgA腎症の発症機序について
 IgA腎症の発症のメカニズムははっきり判っていないことが多いのですが、血液中に存在するIgA型免疫複合体が糸球体(腎臓のなかにある毛細血管の塊であり、最初の尿(原尿)を生成する器官です)のなかのメサンギウム領域に沈着することによって発症すると一般的には考えられています(IgAは免疫グロブリンのなかの1種です)。つまり何らかの免疫異常で起こるとされています。
IgA腎症を発見するきっかけと早期発見の方法について
 IgA腎症は、日本で最も多い慢性糸球体腎炎ですが、予後不良な疾患であり、発症から約20年の経過中に30-40%の患者さんが透析療法を受けなければいけない腎不全の状態になると言われています。この疾患の発見の動機は、検診にて発見される例が多く、約70%にのぼるという報告もあります。つまり学校や職場での検診の際に検尿異常を指摘され腎臓専門医を受診することが多いとされています。今回の症例のようにコーラみたいな色の尿(肉眼的血尿)で発見されるケースは約10%程度であると報告されています。今回の患者さんの場合、扁桃炎に罹患したときの肉眼的血尿の症状は、IgA腎症の存在を十分疑わせる症状であったと考えられます。その後の半年間は検尿を受けていない状況でしたが、おそらくその半年間の経過中でも検尿異常が持続していた可能性があります。そして、半年後の検診にて検尿異常を指摘された後、専門医を受診し腎生検の結果IgA腎症と診断され、適切な治療を受けたことが約1年後の蛋白尿、尿潜血の陰性化につながったものと考えられます。IgA腎症は早期の段階では、ほとんど症状がないことが多く、早期発見のためには学校検尿、職場での検尿検査あるいは特定検診の検尿検査を定期的に受けることが重要です。IgA腎症そのものを予防する方法はなく、前述したように、早期発見のための検尿の定期検査を受けていくことが大事であり、そして検尿異常を指摘された場合には腎臓専門医を受診することが重要であると再度強調しておきます。

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